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障害年金の対象外となる精神疾患とは

脳梗塞の後遺症で障害年金受給につながることがあります。
一方、
小脳梗塞では重症化する症例は少なくて
障害年金にはつながりにくいのです。

このように、障害年金につながる事例が少ない病名は確かにあります。
障害年金に該当する障害状態まで悪化しないだけで
つながりにくくても除外されているわけではないのです。

ですが、明確に除外されている病気が
精神疾患にだけあります。

どのような病気でしょうか?

監修:石井 智子

【保有資格】社会保険労務士 / 年金アドバイザー

【経歴】2018年8月 開業

「うつ病」「双極性障害」などの精神疾患で障害年金を受け取りたい方の手続き代行を「確実に・短い時間で・あなたの体力を減らさない」をモットーに行う。

目次

障害年金とは?

障害年金は、
病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、
現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。

障害年金には、「障害基礎年金」「障害厚生年金」があり、
病気やけがで初めて医師または歯科医師の診療を受けたときに
国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、
厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。

また、障害年金を受け取るには、
年金の保険料納付状況などの条件が設けられています。

老齢年金、遺族年金と同じく偶数月の15日に
2か月分が振り込まれます。
障害基礎年金2級に決定されたなら
816,000円(令和6年度金額)です。

障害年金の対象外となる精神疾患とは

障害年金の受給につながる障害状態は、
障害が発生している身体の部位ごとに基準が あります。
その基準は
「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」
によって定められています。

第1節 眼の障害
第2節 聴覚の障害
第3節 鼻腔機能の障害
第4節 平衡機能の障害
第5節 そしゃく・嚥下機能の障害
第6節 音声又は言語機能の障害
第7節 肢体の障害
第8節 精神の障害
第9節 神経系統の障害
第10節 呼吸器疾患による障害
第11節 心疾患による障害
第12節 腎疾患による障害
第13節 肝疾患による障害
第14節 血液・造血器疾患による障害
第15節 代謝疾患による障害
第16節 悪性新生物による障害
第17節 高血圧症による障害
第18節 その他の疾患による障害

以上のように分かれています。
そのうちの 第8節 精神の障害
の中に対象外となる精神疾患についての記載があります。
2 認定要領
(4) 人格障害は、原則として認定の対象とならない。
(5) 神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、
原則として、認定の対象とはならない。


「人格障害」と「神経症」は障害状態の対象とならないことは
「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」に明記されているのです。

該当するのは58ページになります。以下のサイトでご確認ください

障害年金の対象外となる「人格障害」とは

人格障害はパーソナリティ障害ともいいます。
その定義は
「その人の属する文化から期待されるものより
著しく偏った内的体験および行動の持続的パターンであり、
ほかの精神障害に由来しないもの」
です。
(世界保健機構の精神疾患の診断基準(ICD-10)や
アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-IV-TR 2000)による)。

「障害認定基準」によれば
「人格障害は、原則として認定の対象とならない」
と障害年金の障害状態の対象外とされています。

障害年金申請の診断書に記載される病名は
ICD-10によるコード番号をあわせて記載します。
ICD-10によれば「人格障害」は
第5章 精神および行動の障害
の中の、F60~F69が該当します。
F60 特定の人格障害
F61 混合性及びその他の人格障害
F62 持続的変化、脳損傷及び脳疾患によらないもの
F63 習慣及び衝動の障害
F64 性同一性障害
F65 性思考の障害
F66 性発達及び方向づけに関連する
F67 欠番
F68 その他の成人の人格及び行動の障害
F69 詳細不明の成人の人格及び行動の障害

それぞれのコードは更に枝番号がつきます。
F60-0 妄想性人格障害
F60-1 統合失調症質人格障害
・・・
以降続きます。

アメリカ精神医学会の診断基準によれば、
パーソナリティ障害(人格障害)は10種類になります。
1 反社会性パーソナリティ障害
2 回避性パーソナリティ障害
3 境界性パーソナリティ障害(BPD)
4 依存性パーソナリティ障害
5 演技性パーソナリティ障害
6 自己愛性パーソナリティ障害
7 強迫性パーソナリティ障害
8 妄想性パーソナリティ障害
9 シゾイドパーソナリティ障害
10 統合失調型パーソナリティ障害

「人格障害(パーソナリティ障害)」は
考え方に偏りがあったり、大多数の人と大きく異なる自分なりの基準を持つことで、
別の考え方を容易に受け入れられなくなってしまいます。
そのため、自分のことをわかってもらえないと苦しむことで
社会生活が送れないような状態をいいます。
また、家族等はその問題行動に振り回されることにもなってしまいます。

一口に「人格障害」と言っても
細分化されています。細かな病名の確認はこちら。
↓↓↓↓ 

障害年金の対象外となる「神経症」とは

「神経症」の定義は
「心因によっておこる精神障害。
不合理だとわかっていながら現れる強い不安や
強迫観念・よくうつ・ヒステリーなど種々の症状のため
自分自身が苦しむ状態」
です。

「障害認定基準」によれば
「神経症にあっては、その症状が長期間持続し、
一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならない。」
と障害年金の障害状態の対象外とされています。

障害年金申請の診断書に記載される病名は
ICD-10によるコード番号をあわせて記載します。
ICD-10によれば「神経症」は
第5章 精神および行動の障害
の中の、
F40番代 神経症性障害,ストレス関連障害及び身体表現性障害
が該当します。
F40 恐怖症性不安障害
F41 その他の不安障害
F42 強迫性障害<強迫神経症>
F43 重度ストレスへの反応への適応障害
F44 解離性[転換性]障害
F45 身体表現性障害
F46、F47 欠番
F48 その他の神経症性障害

それぞれのコードは更に枝番号がつきます。
F40-0 広場恐怖症
F40-1 社会恐怖症
・・・
以降続きます。

「神経症」も多岐にわたります。
その中でも代表的な
不安障害(パニック障害・社会不安障害・強迫性障害・全般性不安障害)
については厚生労働省のサイトを参考になさってください。
↓↓↓↓

対象外となる精神疾患で障害年金の可能性は?

「障害認定基準」に
「人格障害は、原則として認定の対象とならない」
「神経症にあっては、その症状が長期間持続し、
一見重症なものであっても、原則として認定の対象とならない」
と記載され、明確に対象から外されています。

例外がないのでしょうか?
文中に「原則として」とあるように、例外が続きます。

「ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を
示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に
準じて取り扱う。
なお、認定に当たっては、精神病の病態がICD-10による
病態区分のどの区分に属す病態であるかを考慮し判断すること」

と記載され、「神経症」については、統合失調症・気分(感情)の病態を
示しているなら、障害年金受給の病気として取り扱えることになっています。

「人格障害」には ただし書きはありませんが、「神経症」と同様に扱うことも
可能です。

「病態」とは、病気によって引き起こされた変化をまとめて
指す言葉です。

「人格障害」「神経症」の診断であっても
時に重症化します。働けるような状態ではないのなら
あきらめたりせずに、担当の医師と相談なさってください。
場合によっては統合失調症や感情(気分)障害の病態を
示していると判断されるかもしれません。

また、「人格障害」「神経症」はいずれも他の精神疾患を併発することが
多いので、他の診断名での障害年金申請の可能性もあります。
いずれも担当医によくご相談ください。

「人格障害」「神経症」であっても
統合失調症・感情(気分)障害の病態を示しているとの
判断になったなら、
診断書の記載については
1 診断名欄に その病態とICD-10コードを併記する
2 備考欄に その病態とICD-10コードを併記する
どちらかが必要です。

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