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病院に行かないと障害年金は受給できない?

――病院へ行っていないのですが、障害年金の申請は
可能でしょうか?――
精神疾患の人から時折寄せられる質問です。

今回はこちらの質問について解説いたします。

監修:石井 智子

【保有資格】社会保険労務士 / 年金アドバイザー

【経歴】2018年8月 開業

「うつ病」「双極性障害」などの精神疾患で障害年金を受け取りたい方の手続き代行を「確実に・短い時間で・あなたの体力を減らさない」をモットーに行う。

目次

病院に行かないと障害年金は受給できない?

「うつ病」などの精神疾患の場合、通院が大前提ですので、
答えは、「不可能」となります。

精神疾患の人には通院は必須です。

障害年金申請の仕組み

障害状態にある人が、64歳未満であり、規定の国民年金保険料を納めているならば、
障害年金の申請が可能です。

障害状態は、以下の通りとなります。
1級 
他人の介助を受けなければ、日常生活のほとんどができない状態。
身の回りのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方、
入院や在宅介護を必要とし、活動の範囲がベッドの周辺に限られるような方。

2級
必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、
労働によって収入を得ることができないほどの状態。
家庭内で軽食を作るなどの軽い活動はできても、それ以上は重い活動はできず、
入院や在宅で、活動の範囲が病院内・家屋内に限られるような方

3級
労働が著しい制限を受ける、または、労働に著しい制限を加えることを必要とするような状態。
日常生活にほとんど支障はないが、労働については制限がある方。

申請は、提出書類のみで判断されます。
本人に面談してから決定するというものではないため、
記載内容は厳格に審査されます。

審査を左右する書類は以下3種類です。
(他にも提出書類はありますが、審査を左右するものではないので、説明を省きます)
1 診断書(医師による)
2 受診状況等証明書(医師による通院期間の証明)
3 病歴・就労状況等申立書(自分で記載する)

書類を揃えて提出し、受理されたならば、
2~3ヶ月後に年金証書が届きます。その後、1~2か月で年金が振り込まれます。
残念ながら不支給決定のときには、年金証書ではなく不支給決定通知が届きます。

障害年金申請に必要な診断書

障害年金申請に必須の書類―
「診断書」「受診状況等証明書」「病歴・就労状況等申立書」―
のうち、病状を確認し、級の決定に大きく影響するのが「診断書」です。
一番重要な書類になります。

「病歴・就労状況等申立書」は、
日常生活に支障があり、就労が難しいことを申し立てることができるので、
「診断書」を補って級の決定に影響します。

診断書には、何が記載されるのか

「診断書」の記載内容は多岐にわたります。
発症から「診断書」に記載する診察日までの経緯が記載されます。
「診察日」は「現症〇年〇月〇日」という表記です。
発症から現症記載日である診察日まで、10年20年にわたることもありますし、
ADHD等の病名であれば、出生の時から診察日まで、
人生を振り返る必要があります。

診察日の時点での症状はもちろんのこと、
発育・養育歴、教育歴、職歴、日常生活能力、就労状況
を記載します。
そして、「今後の病状の見込み」という項目も重要な判断基準です。

病名を判断する際の基準

仕事量の負担が増えて不眠が続き、気分の落ち込みがひどくなったとして、
あなたが一時的に休職したいと思ったなら…?

勤務先から病気である証明書の提出を要求されるはずです。
まだ通院したことがないなら、人事から
「メンタル不調ではないか」としてメンタルクリニックの受診を勧められるでしょう。
そして、病気の証明としての診断書を取得して提出し、
休職が受理されることになります。

この時、初めての受診でも、休職のための診断書は書いてもらえます。
(病院にもよります)
では、病名はどのように記載されるでしょうか?

いつ発症したか
発症から現在までの症状の変化
などを聴き取った上で、現在までの時間の経過による
病状の経緯を基に病名を決めます。
適応障害、パニック症、などの病名で記載されることもあれば、
判断つけられず、単に現在の状態を示すだけのものとして
「うつ状態」として記載されることもあります。

一時的な休職のための判断であっても、時間の経過を見る必要があるのですから、
障害年金の申請ならなおさら
経過を観察してから、病名の判断となります。「時間」が基準ともいえるのです。

「うつ病」の自己判断は危険

「うつ病」かどうかの判断は、チェックリストなどがネット上でもありますから、
自分でもある程度の判断ができます。
そのため、早期に体を休めたり、生活の見直しをはかれるという利点は何よりありがたいものです。
軽症のうちなら回復も早いですし。

問題があると感じるのは
「病院へ行かずとも自分はうつ病であることがわかる」と
自己判断し、通院していない人の場合です。

うつ病(自己判断なので、«多分»としか言えない)で働けなくなり、生活が成り立たなくなってから
「そうだ!障害年金がある!」と
障害年金をたよっても、通院していなければ、病気を証明できません。

すぐに通院を開始したとしても、初診日から1年6か月後の障害認定日まで申請できません。
障害認定日に申請し、実際に年金を受け取るにはそこから5,6か月かかります。
2年先にしか年金は受け取れないのです。
病院に通いたくない人は一定数いらっしゃいますが、
病気を証明できるのは、医師だけです。

障害年金を受給する方法

通院歴はあるが、現在通院していない時には

過去通院歴があり、「うつ病」の治療をしていたけれど、中断してから月日が過ぎている場合。
すぐに通院開始し、障害年金申請の診断書を書いてもらえるでしょうか?

過去通院していた病院と同じ病院であっても、
通院空白期間があるなら、病状は一旦リセットされてしまいます。
改めて、継続通院して経過観察しないと
障害年金申請のための診断書記載にはつながりません。

病状が一時的なものではなく、
固定されていると、判断されなければならないので
半年くらいの通院が必要になります。

障害年金を受給する際の病院選びの注意点

改めて通院を開始する病院が、今まで通院していた病院であっても
別の病院であっても
通院を開始する際に、必ず障害年金申請を考えていることを
伝えてから通院開始してください。

6か月くらいの通院が必要だからといって、
6か月過ぎてから初めて障害年金の相談をしないようにしてください。

病院によっては、障害年金申請用の診断書を書かない方針の病院もあるからです。
心療内科を標榜する病院に多いと感じています。

転院しなければならなくなってしまいますから、
最初に確認して、通院を再開してください。
通院期間とお金が無駄になってしまいます。

経済的な理由で通院できない時には

「通院できませんが、どうしたらいいでしょう?」
切実な問い合わせも届きます。
すべて経済的な理由です。

働くこともできず、援助してくれる身内もなく、
という場合には、お住まいの地域の福祉課などで
相談をなさってください。

障害年金を超えてのサポートを受ける必要があるでしょうから
役所での相談をおすすめします。

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