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【うつ病】障害厚生年金3級 1級2級と比べて解説

令和5年6月に公開された厚生労働省「障害年金制度」の案内によると、
障害厚生年金3級の受給者数は、29万人です。

障害年金の全受給者数は251万人ですから、全体の11.5%位の人が3級ということになります。

障害厚生年金3級は、1、2級と比べてどこが異なるのか考えてみます。

監修:石井 智子

【保有資格】社会保険労務士 / 年金アドバイザー

【経歴】2018年8月 開業

「うつ病」「双極性障害」などの精神疾患で障害年金を受け取りたい方の手続き代行を「確実に・短い時間で・あなたの体力を減らさない」をモットーに行う。

目次

障害厚生年金と障害基礎年金に共通すること

障害厚生年金と障害基礎年金、いずれも年金の権利が発生する条件は同じです。
・ 年齢は20歳から64歳(例外もありますが、説明は省きます)
・ 初診日の前日において規定の保険料を納めていること
・ 障害状態であること

初診日

障害の原因となった病気について、初めて医師等の診療を受けた日をいいます。
同一の病気で転医があったあった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日が初診日となります。
うつ病などの精神疾患の場合は、「適応障害からうつ病」「不安障害から双極性障害」
などのように病名が変わることがあっても、
障害年金の制度上は、同一の精神疾患として扱います。

障害状態

障害年金受給に該当する障害状態は以下の通りです。障害厚生年金と障害基礎年金どちらであっても
同じ基準で級は判断されます。

1級 
他人の介助を受けなければ、日常生活のほとんどができない状態。
身の回りのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方、
入院や在宅介護を必要とし、活動の範囲がベッドの周辺に限られるような方。

2級
必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、
労働によって収入を得ることができないほどの状態。
家庭内で軽食を作るなどの軽い活動はできても、それ以上は重い活動はできず、
入院や在宅で、活動の範囲が病院内・家屋内に限られるような方

3級
労働が著しい制限を受ける、または、労働に著しい制限を加えることを必要とするような状態。
日常生活にほとんど支障はないが、労働については制限がある方。

障害厚生年金と障害基礎年金の違い

障害厚生年金と障害基礎年金には以下の異なる部分があります。
・ 該当障害等級と加算の条件
・ 年金額
・ 障害基礎年金だけの支援

該当障害等級と加算の条件

障害厚生年金には、障害等級は1級、2級、3級とに分かれています。
そして、配偶者の加算があります。
ただし、配偶者の加算は、1級、2級のみです。
年収850万円未満の方が対象です。
障害厚生年金の権利が発生した後の結婚の場合でも対象となります。
配偶者が65歳になって老齢年金の権利ができる前までの加算です。
年額 239,300円 (令和7年額)

障害厚生年金3級の人には、配偶者の加算はありませんので、注意が必要です。

障害基礎年金では、障害等級は1級、2級だけです。
お子さんの分は、障害基礎年金に加算されます。
18歳年度末(障害1級、2級のお子さんは20歳)までの加算です。
実子、養子、関係なく加算されます。
年額 1人め、2人め 228,700円 3人め以降 76,200円 (令和5年度)

年金額

障害基礎年金は、障害等級が同じであればすべての人が同じ金額です。
1級 1,039,625円  2級 831,700円 (令和7年度額)

障害厚生年金は、障害厚生年金に加えて障害基礎年金を受け取れます。
年金制度では、遺族年金、老齢年金も同じ仕組みです。
いずれも 基礎年金+厚生年金 と2種類の年金を組み合わせます。

障害厚生年金は、障害基礎年金+障害厚生年金なのですが、
一般的には、2種類をあわせて「障害厚生年金」と認識されていますし、
年金額も、障害基礎年金と障害厚生年金を合計した金額を基に計算され、
一括して振り込まれます。
そのため、2種類の年金を受け取っている意識のない方が多いのですが、
将来、老齢年金を受け取る年齢になった時に、年金額の高い方を選んだりする
判断材料のひとつとして、知っておいていただきたいです。

障害厚生年金は、障害認定日(初診日から1年6月後)の属する月までの
給与を基に年金額が計算されます。
誰とも同じ金額になりません。
給与が高かった人ほど、障害厚生年金も高額になるということです。

障害基礎年金受給者への支援

障害基礎年金受給者とは、障害等級1,2級の人が対象となります。

支援のひとつに、「法定免除」があります。

1,2級の人は、自動的に納めるべき国民年金保険料が法定免除となり、
納める必要がなくなります。法定免除期間は、将来老齢基礎年金を受給することになった時には
1/2の年金額を受け取れます。
また、厚生年金加入者の配偶者である3号の人が障害年金1,2級ならば、
法定免除ではなく、3号の扱いが優先され、将来の老齢基礎年金は1/2ではなく通常の計算で
老齢基礎年金が受け取れます。

ふたつめの支援は、「年金生活者支援給付金」です。

年金生活者支援給付金は、公的年金等の収入やその他の所得額が一定基準以下
の年金受給者の生活を支援するために、年金に上乗せして支給されるものです。

年金とは別の支援なので、同じ口座に振り込まれますが、年金と分けて振り込まれます。

3級の年金額

障害厚生年金3級の年金額は「報酬比例の年金額」の計算式で算出します。

平均標準報酬額×5.481/1,000×平成15年4月以降の加入期間の月数
(平成15年3月以前の計算式は省きます)

この計算は老齢厚生年金の計算方法と同じです。
計算式は同じですが、異なるところがあります。
「加入期間の月数」のところです。

老齢厚生年金の計算の際には、実際の月数で計算するのですが、
障害厚生年金の場合には、300月(25年)に満たない場合は、
300月として計算します。25年分に増えるので、お得な年金と言えます。

また、障害厚生年金3級には、障害基礎年金はつかないので、
年金額が極端に少なくならないように、最低保障額が決められています。
623,800円 (令和7年度額) です。

この最低保障額に決定したなら、受け取るのは月額 51,983円です。

「うつ病」などの精神疾患の方を中心に対応している、当事務所でサポートした人の場合、
3級に認定された方の8割が、この最低保障額に決定されています。

年金額を逆算してみるとわかるのですが、
最低保障額を上回る年金額になる人は、年収なら420万円を超えないと
上回りません。

最初にご案内した 厚生労働省「障害年金制度」の案内の中には
障害厚生年金3級受給者の平均月額は 60,128円となっています。
29万人の障害厚生年金3級の人は、全ての病気やけがも数にはいっているのですから、
しっかり働いてきた人が、突然の事故で障害を持つことになったりしたら
それまで働いてきた給与も多いのでしょう。

精神疾患の人は、ほとんどが徐々に働けなくなり、
収入も減って、病気も悪化して、障害年金の申請となります。
少なくなってしまった給与を基に、障害年金も計算されますので、全体に他の病気やけがの場合よりも
年金額が低いのだと考えられます。
病気による格差のようなものがありそうです。

2級の症状なのに、3級だと判断されるとき

2級の障害状態は、病気のために働くことができない状態です。
診断書にも、2級と判断できるような記載があったとしても、3級の判断になることがあります。
おもな原因は3点あると考えられます。

1 収入がある
2 雇用保険の基本手当を受けている
3 ひとり暮らしをしている

無理をして働いて、まとまった収入がある場合は、3級に級落ちすることがあります。
精神疾患による障害年金は、病気の状態に対してだけで判断していませんので、
たとえ2級に該当しているという判断でも、生活保障という側面からそこまでのサポートは必要ない
という判断になります。

うつ病などの精神疾患で、勤務が続けられなくなり、退職を決めた場合。
障害者手帳もあるので、就職困難者として雇用保険の基本手当を受け取っている時に
障害年金の申請をしたなら、級落ちだけでなく、申請が通らないこともあり得ます。

うつ病で独り暮らしをなさっている人は、日常生活が一人でできている
という判断になって、3級の認定になってしまうことがあります。

精神障害者保健福祉手帳3級なら、障害年金も3級になるのか?

障害年金の申請よりも先に
3級の精神障害者保健福祉手帳を取得しているケースも多いです。

ご家族の扶養になっているため、減税対策としての取得が目的で
障害年金より先に手帳を申請しています。

精神障害者保健福祉手帳が3級なのですが、障害年金は受け取れますか?
3級になってしまうのですか?という質問もいただきました。

精神障害者保健福祉手帳と障害年金は、制度上連動していません。
障害年金申請の際に手帳の有無を参考にしますが、級を同じにするということはありません。

精神障害者保健福祉手帳が3級でも、2級の障害年金に決定されることはあります。
逆もありえます。
それぞれ別の診断書でそれぞれの判断です。

先に障害年金の取得をし、その後精神障害者保健福祉手帳を申請しようとする時は
年金証書を提出することで、障害年金と同じ級で手帳の申請を受け付けてくれる
役所もあります。
それぞれ、手続きが地域によって異なりますので、役所にご確認ください。

障害厚生年金3級、まとめ

1級、2級と異なることは、

配偶者の加算、子供の加算、ともにつかない。
国民年金保険料が免除にならない。
年金生活者支援給付金も受け取れない。

そのため、金額の上では2級と比べて半分くらいになってしまったような感覚になります。
ですが、病状に変化がある精神疾患でならば、働きながらでも年金のサポートを受けられることは
病気の回復期には、大変心強いものです。

一度受給権があれば、病状が悪化して2級に申請するときも
最初の申請の時のように手間がかかるものではありません。

2級だったらよかったのに、申請がうまくいかなかった…
と感じるならば、更新の時をチャンスにして
担当の先生にしっかり病状を伝えるなど、向き合ってみてください。

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