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障害基礎年金と障害厚生年金は選べる?それぞれの違いや判断基準を解説

障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金があります。
比較すると、障害厚生年金の方が有利な年金となっています。
自分の判断で選べるのでしょうか?
うつ病などの精神疾患の人のために解説いたします。

監修:石井 智子

【保有資格】社会保険労務士 / 年金アドバイザー

【経歴】2018年8月 開業

「うつ病」「双極性障害」などの精神疾患で障害年金を受け取りたい方の手続き代行を「確実に・短い時間で・あなたの体力を減らさない」をモットーに行う。

目次

障害基礎年金とは

年金制度では、初めてうつ病などの精神疾患で受診した日を
「初診日」と呼びます。
この初診日に国民年金の被保険者
(学生やフリーランス、自営業、会社員の配偶者など)であれば、
障害基礎年金を受け取ることになります。

障害基礎年金は、同じ障害等級であれば、すべての人が同じ年金額です。

障害厚生年金とは

初診日に会社員や公務員で厚生年金の被保険者であれば
障害厚生年金を受け取ります。

給与の額にあわせて厚生年金保険料を納めていますから
障害厚生年金の受取年金額は1人ずつ異なります。

「保険」ですから、納めた保険料が多いほど受け取れる障害年金も
高額になります。

1人ずつ年金額が異なるところが
障害基礎年金との大きな違いです。

障害基礎年金と障害厚生年金の違い

障害基礎年金と障害厚生年金の「違い」は年金額です。

障害基礎年金は全ての人が同じ金額になりますから,
簡単に年金額を調べることができます。
障害基礎年金2級は 795,000円(令和5年額)です。

障害厚生年金2級の場合、障害基礎年金+障害厚生年金なので、
障害厚生年金の金額を計算してみます。

平成15年4月以降の厚生年金期間しかないものとして、
平均給与額を仮定して計算してみます。

障害認定日前までの期間の平均給与額で、障害厚生年金の年金額は
次表のように決まります。

過去の給与額による障害厚生年金の金額差

障害厚生年金、4つのメリット

障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があります。

障害基礎年金と障害厚生年金を比べて、
障害基礎年金の方が有利な点はあるのでしょうか?

残念ながら、ひとつもありません。

障害厚生年金の方が有利です。有利なポイントは4つあります。

障害等級1・2級なら 2階建て年金になる

障害厚生年金なら1・2・3級まであります。
一方、障害基礎年金は1・2級のみです。
1・2級の障害厚生年金を受けられる人には、自動的に障害基礎年金も併せて受け取ることができます。
2階建て年金と呼ばれるものです。

障害基礎年金は、年齢や、納めた保険料によって年金額が変わるものではなく、
誰もが同じ金額の年金を受け取ります。フルペンションの老齢基礎年金・遺族基礎年金と同じ金額です。

障害厚生年金は老齢厚生年金と同じ計算式で年金額が決まります。

障害厚生年金には配偶者の加算がある

障害基礎年金には子どもの加算があります。
1人め2人めはそれぞれ 228,700円です。(令和5年額)
この金額と同じ金額を、配偶者のある人に加算します。

障害厚生年金を算出する際に被保険者期間が25年未満なら、25年分まで増額がある

障害の原因となった病気やけがで、初めて医師等の診療を受けた
初診日の前月までの加入期間で障害厚生年金額が計算されます。

そのため、病歴が長い方は初診日が10年以上、あるいは20年以上前の場合もありえます。
10年前、20年前といった若いときは報酬額も低いことがありますし、
加入期間も短くなります。
その際は、実際の加入期間が25年未満であれば
25年(300月)まで増やして年金が計算されます。

25年以上の加入期間がある方は実際の期間で計算されます。

障害等級3級がある

障害年金受給に該当する障害状態は以下の通りです。

1級 
他人の介助を受けなければ、日常生活のほとんどができない状態。
身の回りのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方、
入院や在宅介護を必要とし、活動の範囲がベッドの周辺に限られるような方。

2級
必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、
労働によって収入を得ることができないほどの状態。
家庭内で軽食を作るなどの軽い活動はできても、それ以上は重い活動はできず、
入院や在宅で、活動の範囲が病院内・家屋内に限られるような方

3級
労働が著しい制限を受ける、または、労働に著しい制限を加えることを必要とするような状態。
日常生活にほとんど支障はないが、労働については制限がある方。

この3級があることが、障害厚生年金の最大のメリットです!

「労働が著しい制限を受ける」など、ちょっと解りにくい表現ですが、
通常業務ではなく、会社側の配慮により軽い内容の業務で働く場合
あるいは 障害者雇用枠で働くような方が該当します。
短時間勤務、週2・3日の勤務などの働き方も含まれます。

例えば うつ病の方が
まったく働くことができない2級の状態から、職場復帰をしたいと考える時、
3級があるかないかでは大きな差があります。
額が少ないとはいえ、年金を受け取りながら軽めの仕事ができる
この安心感はとても大きいと思いませんか?

お金への不安から、いきなりフルタイム勤務を考えたりする
のはとても危険です。
また悪化させてしまうかもしれませんし、
場合によっては慢性化し、今度こそ退職となってしまいます。

障害厚生年金は3級があるので、復職を目指すにはとても
助かる年金です。

障害基礎年金と障害厚生年金の判断基準

障害の原因となった病気やけがで初めて医師等の診療を受けた初診日に、
国民年金の被保険者ならば
障害基礎年金を受給し、
厚生年金の被保険者ならば
障害厚生年金を受給することになります。

障害基礎年金と障害厚生年金の判断基準は
初診日に自動的に決定されます。

年金制度は「保険」なので、規定の初診日に加入していた状態で
受け取れる年金が決まってしまうのです。

障害基礎年金と障害厚生年金を選び直しできる?

障害基礎年金、障害厚生年金のどちらかに決まったならば
後から変更できるものではありません。
そのまま生涯ついてまわります。
ひとつの病気に一つの年金です。

もしも別の病気で障害年金受給となるなら
その時に改めて障害基礎年金課障害厚生年金なのか
決まることになります。

障害基礎年金と障害厚生年金とを、事前に選ぶ方法

障害厚生年金のことを知っていれば、会社員のうちに
病院へ行けばよかった…

という人にお会いすることがあります。
「知らない」ということは大変に悲しいことです。
あらかじめ知っておけば、
会社勤務をしている時に通院を開始して、有利な障害厚生年金を受給することはできなくはありません。

うつ病などの精神疾患の場合、脳梗塞などのように突発的に症状が出て
病院へ行かねばならないようなことはほとんどありません。
自分で通院をある程度コントロールできます。
「メンタルクリニックへ行こうかどうか迷っているうちに1年過ぎた」
という方もいらっしゃいました。
理由は様々ですが、勤務の継続があまりにも苦しくて、
通院開始前に退職をしてしまう方が稀にいらっしゃいます。
退職後落ち着いてから通院を開始し、治療に専念しようと思ってのことです。

あわてて退職しないでください。
病気になるとお金の必要に迫られます。
初診日の状態で年金額に差がついてしまいますので、どうか会社勤務中に病院を訪ねてください。
やりなおしはできません。

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