【社労士解説】障害年金の審査の仕組み｜どこで何が判断されるのか？
「障害年金って、誰がどこで審査しているの？」
「何を見て、支給・不支給が決まるのか分からなくて不安…」
このような疑問を感じている方は多いのではないでしょうか。
障害年金の審査は、申請者本人からは中身が見えにくい仕組みになっており、
「なぜ通らなかったのか分からない」という声も少なくありません。
審査の仕組みを理解すれば、
障害年金の申請がスムーズに進むことや
障害年金を受給できた後も有意義に時間とお金を使えるはずです。
本記事では、社会保険労務士が
障害年金の審査がどこで・どのような流れで・何を基準に行われているのかを、
制度の全体像から具体的な判断ポイントまで整理して解説します。
監修：石井 智子
【保有資格】社会保険労務士 / 年金アドバイザー
【経歴】2018年8月 開業
「うつ病」「双極性障害」などの精神疾患で障害年金を受け取りたい方の手続き代行を「確実に・短い時間で・あなたの体力を減らさない」をモットーに行う。
目次
- ○ 障害年金の審査はどこで行われているの？
- ○ 審査の全体的な流れ｜申請から結果通知まで
- ○ 審査で見られる3つの重要ポイント
- ・① 初診日が正しく特定できているか
- ・② どの時期のどの程度の障害状態なのか
- ・③ 日常生活・就労への影響の程度
- ○ 診断書はどこまで影響するのか
- ○ 病歴・就労状況等申立書が果たす役割
- ○ 不支給になりやすい代表的なケース
- ○ まとめ｜審査の仕組みを理解することが申請成功の近道
障害年金の審査はどこで行われているの？
障害年金の審査は、
・日本年金機構
・障害認定を担当する「認定医（審査医）」
にて行われます。
申請書類は年金事務所や市区町村の窓口に提出しますが、
申請窓口と審査機関は別という点が重要です。
審査の全体的な流れ｜申請から結果通知まで
障害年金の審査は、おおまかに次の流れで進みます。
・申請者が年金事務所・市区町村窓口へ申請
・書類が日本年金機構へ送付される
・書類内容の形式チェック
・認定医による障害状態の審査
・総合判断（支給・等級・不支給）
・結果通知が郵送で届く
申請から結果が届くまで、おおむね5〜6か月程度かかります。
今、自分の申請がどの段階にいるかイメージを掴むことが
スムーズな申請に繋がります。
次は〇〇の段階だから事前に準備しておこう。
といった対応は非常に有効です。
審査で見られる3つの重要ポイント
障害年金の審査では、主に次の3点が総合的に判断されます。
① 初診日が正しく特定できているか
・初診日がいつか
・その時点でどの年金制度に加入していたか
・保険料納付要件を満たしているか
初診日を確定し、保険料納付要件を満たしていなければ、
障害が重症であっても、初診日が確定できないとして不支給になります。
② どの時期のどの程度の障害状態なのか
障害年金は、
「障害認定日（原則：初診日から1年6か月）」時点の状態で審査されます。
障害認定日が、現在よりも1年以上間があいていれば、
現在の診断書と障害認定日の診断書での障害状態で審査されます。
例えば、障害認定日と現在が長期にわたっていても
障害認定日と現在の障害状態の審査です。
③ 日常生活・就労への影響の程度
診断名そのものよりも、
・日常生活でどれくらい支障があるか
・どの程度の援助が必要か
・就労がどのくらい制限されているか
といった生活実態が重視されます。
✅初診日の決まり方や診断内容の重要性は下記記事で詳しく解説しています。重要なことなので一読をおすすめします。
【社労士解説】初診日の決まり方｜障害年金の最重要ポイントを専門家がわかりやすく解説
診断書はどこまで影響するのか
診断書は、審査において最重要書類のひとつです。
ただし、
「診断書さえ重く書いてもらえば通る」というわけではありません。
診断書は次の点を見られます。
・記載内容に具体性があるか
・日常生活状況欄と等級の整合性
・病歴・就労状況等申立書との矛盾がないか
他の書類と食い違いがあると、評価が下がる点には注意が必要です。
病歴・就労状況等申立書が果たす役割
病歴・就労状況等申立書は、
診断書では書ききれない生活の実情を補足する書類です。
・症状の経過
・仕事や日常生活での具体的な困りごと
・なぜ働けない（働きづらい）のか
これらを申立書で具体的に説明できているかが、
審査結果を左右するケースも多くあります。
不支給になりやすい代表的なケース
実務上、不支給になりやすいのは次のようなケースです。
・初診日の証明が不十分
・保険料納付要件を満たしていない
・診断書と申立書の内容が矛盾している
・日常生活への支障が具体的に伝わっていない
・就労状況が正確に整理されていない
「状態が軽いから不支給」ではなく、
書類の組み立て方が原因ということも少なくありません。
まとめ｜審査の仕組みを理解することが申請成功の近道
障害年金の審査は、
・誰が
・どこで
・何を基準に
判断しているのかを理解することで、
申請書類の書き方・整え方が大きく変わります。
一方で、判断に迷った場合や状況が複雑なため
上記解説を理解しても思うように通りに進まないケースもあります。
そんなときは我々専門家に依頼するのが一番早いです。
ぜひ、障害年金の申請で迷っている方はご相談ください！
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