【社労士解説】障害年金の等級とは?1級・2級・3級の違いをわかりやすく解説
「障害年金の等級ってどうやって決まるの?」
「自分は1級・2級・3級のどれに当てはまる?」

こういった質問はとても多いです。
特に精神の障害による申請では、
“できる/できない”だけでなく、“援助が必要かどうか” が重要なため、基準がわかりにくいと感じる方がほとんどです。
この記事では、社会保険労務士が
「障害年金の等級の考え方」
「1級・2級・3級の違いをわかりやすく比較」
「審査で特に重視されるポイント」
まで丁寧に解説します。

監修:石井 智子
【保有資格】社会保険労務士 / 年金アドバイザー
【経歴】2018年8月 開業
「うつ病」「双極性障害」などの精神疾患で障害年金を受け取りたい方の手続き代行を「確実に・短い時間で・あなたの体力を減らさない」をモットーに行う。
目次
- ○ 1級・2級・3級の違いをわかりやすく解説
- ・■1級(最も重い状態)
- ・■2級(日常生活に著しい制限)
- ・■ 3級
- ・■等級の違いまとめ
- ○ 障害年金の等級はどのように決まる?審査で重視されるポイント
- ・①日常生活能力の程度(1〜5の5段階評価)
- ・②日常生活能力の判定項目(7つ)
- ・③ 医師が記載した“具体的な状態像”
- ・▽精神の障害は「できる/できない」だけで判断されない
- ・等級は「加入していた年金制度」によっても変わります
- ○ 等級によって受け取れる金額の違い(概要)
- ○ 精神の障害で“等級が下がる/上がらない”よくある理由
- ・よくある不利なパターン
- ○ 等級の判断でよくある誤解
- ○ まとめ|迷う場合は専門家に相談を
1級・2級・3級の違いをわかりやすく解説

障害年金の等級とは、
「日常生活や就労がどれくらい難しいか、援助が必要かどうか」 を基準に、国が定める3段階の区分のことです。
等級は1級~3級の3段階が存在し、
重い順に 1級 → 2級 → 3級 となります。
■ 1級
ほぼ全ての生活で常時援助が必要。就労は不可。
■ 2級
日常生活に大きな制限があり、援助が必要。長時間の就労は困難。
■ 3級
日常生活はある程度できるが、仕事に制限がある。軽作業なら可能。
このように、等級は
生活能力(どれくらい援助が必要か)
+ 就労能力(どの程度働けるか)
の両面から判断されます。
それぞれをもう少し詳しく説明します。
■1級(最も重い状態)
1級と判断される要因は下記です。
・ほぼ常に援助が必要
・食事・着替え・外出など、身の回りのことが自分でできない
・外出がほとんど不可能
・就労は不可
・家庭内での生活も困難
■2級(日常生活に著しい制限)
・家事や身の回りが一人では難しい
・通院に付き添いが必要なことがある
・長時間労働は不可能
・外出はできても制限が多い
・家族からの援助が常に必要
■ 3級
・日常生活はある程度できる
・フルタイム勤務は厳しい
・軽作業や配慮があれば就労可能
・精神的負荷の大きい仕事は困難
■等級の違いまとめ
1級:ほぼ全ての生活で常時援助が必要。就労は不可
2級:日常生活に大きな制限、援助が必要。就労は長時間だと困難
3級:日常生活はある程度できるが仕事に一定の制限。就労は軽作業などなら可
このように、日常生活の状態と就労が可能かどうか。
可能でもどの程度の作業、作業時間なら可能かで判断されます。
障害年金の等級はどのように決まる?審査で重視されるポイント

審査の中心となるのは「診断書」です。
特に精神の障害(うつ病・双極性障害・発達障害など)では、
次の審査で重視される3つのポイントがあります。
①日常生活能力の程度(1〜5の5段階評価)
・身の回りのことがどれくらい自分でできるか
・援助が必要か
・社会的な行動がどこまで可能か
これらを5段階で評価します。
②日常生活能力の判定項目(7つ)
厚生労働省が決めた7項目が評価されます。
・適切な食事
・身辺の清潔保持
・金銭管理
・通院、服薬
・対人関係
・生活リズム
・社会性、行動
③ 医師が記載した“具体的な状態像”
・外出の頻度
・仕事ができるかどうか
・援助の必要性
・症状の変動 など
▽精神の障害は「できる/できない」だけで判断されない
特に誤解が多いのがここです。
“できるかどうか”ではなく “援助が必要かどうか” で判断される
たとえば、
「料理ができる」と言っても、
・毎回家族が付き添っている
・調味料の分量がわからずサポートが必要
などの場合は「自立している」とは判断されません。
等級は「加入していた年金制度」によっても変わります
初診日の時点で加入していた年金制度によって、
適用される等級の範囲が異なります。
・国民年金(自営業・学生・無職など)
→ 支給対象は 1級・2級のみ
・厚生年金(会社員・パート・派遣など)
→ 支給対象は 1級・2級・3級
❗なぜ3級は厚生年金にしかないのか?
理由は制度の目的の違いです。
・厚生年金:労働能力の低下も補償するため3級が存在する
・国民年金:生活の困難が中心の支援なので3級は対象外
3級は「生活はある程度できるが、仕事に制限がある状態」のため、
“生活の困難への支援を目的とする国民年金では対象外” となるわけです。
等級によって受け取れる金額の違い(概要)
金額は制度・家族構成によって変わりますが、
ここでは“ざっくりとした違い”を説明します。
・1級は2級の1.25倍
・厚生年金の人は報酬比例部分が加算される
・3級は最低保障額がある
精神の障害で“等級が下がる/上がらない”よくある理由

精神の障害は診断書の書き方ひとつで結果が大きく変わるため、
以下の理由で不利になることがあります。
よくある不利なパターン
・診断書に「できること」ばかり書かれている
・通院期間が短い
・服薬の記録が不十分
・病歴、就労状況等申立書と整合性がない
・“家族の援助”が記載されていない
・「安定」など改善と誤解される書き方がある
こうした点は、申請前に必ずチェックしておく必要があります。
等級の判断でよくある誤解

お話を聞く中で、よく聞く誤解を記載してみました。
・症状がつらいから高い等級になる → ×日常生活がどれだけ制限されているかが基準
・診断名で等級が決まる → ×生活状況・援助の必要性が決め手
・フルタイム勤務していたら絶対に不支給 → ×配慮の有無・症状の安定性などで判断
まとめ|迷う場合は専門家に相談を

障害年金の等級は、症状のつらさだけではなく
「日常生活・社会生活の制限がどれくらいあるか」
で決まります。
特に精神の障害の場合は、
診断書の書き方や申立書の内容で結果が大きく変わるため、
不安がある場合は一人で悩まずに専門家に相談してください。
どうぞご遠慮なく!お問い合わせください。
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