【うつ病】障害年金受給後の国民年金保険料はどうなる?
障害年金の申請をしてからやっと、年金の振り込みがあって、
ほっとしているところでしょうか? お疲れ様でした。
今まで納めなければならなかった「国民年金保険料」は
これからどうなるのかについてのご案内です。
うつ病などの精神疾患の場合には、知っておいていただきたいことです。
監修:石井 智子
【保有資格】社会保険労務士 / 年金アドバイザー
【経歴】2018年8月 開業
「うつ病」「双極性障害」などの精神疾患で障害年金を受け取りたい方の手続き代行を「確実に・短い時間で・あなたの体力を減らさない」をモットーに行う。
目次
- ○ 国民年金保険料と厚生年金保険料
- ・国民年金の被保険者
- ・年金保険料の納付義務
- ○ 国民年金保険料を納めることができない時の免除の仕組み
- ・申請免除
- ・法定免除
- ○ 障害等級1級、2級でも法定免除に当てはまらない人
- ○ 法定免除期間は老齢年金受給の際にはどのような扱いになるのか
- ・法定免除期間に国民年金保険料を納めることもできる
- ○ 過去の分の国民年金保険料が戻ってくるとき
- ○ 国民年金保険料 まとめ
- ○ LINEでのお問い合わせ
国民年金保険料と厚生年金保険料
あなたはなぜ 国民年期保険料もしくは、厚生年金保険料を納めなければならないのでしょうか?
それは、
国民年金法では、あなたは強制加入被保険者だからです。
(任意加入被保険者もいますが、少数なのでここでは説明を省きます)
強制加入被保険者は、あなたの意思に関係なく、法律上当然に国民年金の被保険者です。
(被保険者とは国民年金に加入している人のことです)
従って、国民年金保険料を納めなければならないのです。
では、
被保険者と国民年金保険料、被保険者と厚生年金保険料の関係はどうなっているのでしょうか?
国民年金の被保険者
国民年金の強制加入被保険者とは?
1 日本国内に住所のある20歳以上60歳未満の人は 第1号被保険者です
2 厚生年金保険の被保険者は 第2号被保険者です
3 第2号被保険者の配偶者で、20歳以上60歳未満の人は 第3号被保険者です
注意していただきたいのは、2の 第2号被保険者です。
会社員であれば厚生年金保険に加入し、厚生年金保険の被保険者になります。
同時に国民年金の被保険者でもあるのです。国民年金にも厚生年金にも同時に加入しているということです。
ふたつの資格を持っているので、
基礎年金と厚生年金のふたつの年金の権利がある、ということになります。
年金保険料の納付義務
国民年金の第1号被保険者は国民年金保険料を納めなくてはなりません。
20歳以上の学生や、自営業の人などが該当します。
うつ病で障害年金を受け取ることになったあなたも、第1号被保険者です。
国民年金保険料は、収入金額にかかわらず同じ金額です。
令和5年は、16,520円です。
会社員、公務員の人で厚生年金保険に加入した第2号被保険者は
給与額に応じて厚生年金保険料を納めます。
国民年金の被保険者の資格も同時に持っていますが、
厚生年金保険料を納めることで、国民年金保険料も納めたことになっています。
両方を納める必要はありません。
国民年金保険料を納めることができない時の免除の仕組み
厚生年金保険料は、給与から差し引かれて会社が納めますので、
「納めることができない」ことにはなりません。
ですが、
第1号被保険者の中には、さまざまな事情から国民年金保険料を
納めることが難しい場合もありえます。
申請免除
リストラなどによって職を失ったようなとき、
国民年金保険料の免除を受けることができます。
また、収入が低くなってしまったようなときも同様です。
申請することによって、該当する状態の間、国民根金保険料の免除が受けられます。
法定免除
第1号被保険者で、以下のいずれかに該当する場合は法定免除となります。
1 障害年金1級、2級
2 生活保護法による生活扶助を受けている
3 施設に入所している(ハンセン病療養所、国立保養所、等)
障害等級1級、2級でも法定免除に当てはまらない人
障害等級1級、2級の人は法定免除となり、
国民年金保険料の納付はしなくともよくなります。
例外として、障害等級1級、2級であって、
国民年金の第3号被保険者であるならば、
第3号被保険者としての条件が優先されます。
免除ではなく、国民年金保険料を納めたものと同じ扱いになります。
万が一、第2号被保険者である配偶者が亡くなったりしたときには、
第3号被保険者ではなくなりますから、第1号被保険者となり、
法定免除となります。
法定免除期間は老齢年金受給の際にはどのような扱いになるのか
障害年金1級2級なら
法定免除の文字通り、国民年金保険料を払う必要はない、ということです。
国民年金保険料は16,520円(令和5年額)ですから、
けっこう大きな出費です。
それが、払わなくてよいなら、
とても助かります。
良いことばかりでしょうか?
法定免除期間については、
将来の老齢基礎年金の計算上、その期間分の年金額が1/2に減ってしまいます。
ですが、
障害状態がこれから先も固定されているなら、
生涯にわたって障害年金を受け取り続けることになるので、
法定免除をそのまま受けることで何の問題もありません。
考える必要があるのは、障害状態が永久認定ではない場合です。
うつ病などの精神疾患は、将来、症状が軽減されて
障害年金受給に該当する障害状態ではなくなる可能性があります。
障害年金を受け取る必要がなくなった場合、
将来は老齢年金を受け取ります。
法定免除期間に国民年金保険料は納められていないのですから、
法定免除期間に相当する
老齢基礎年金は1/2になっている年金を受け取ることになります。
老齢基礎年金に切り替わるかも知れない事を考えて、
法定免除を受けずに国民年金保険料を納めることも可能です。
法定免除期間に国民年金保険料を納めることもできる
法定免除は、国民年金保険料を半分納めたことと同じ意味になります。
言い換えると、法定免除になって保険料を全く納めなくとも、
症状が改善されて障害基礎年金を卒業した時に
法定免除期間分の老齢基礎年金の1/2を受け取れるということです。
例えば、
法定免除を10年間受けてから、症状改善し、
障害基礎年金を受け取らなくなった場合を考えてみます。
障害基礎年金を受給していた10年間は法定免除期間なので、
納めた国民年金保険料は 0円です。
この場合、将来受け取る老齢基礎年金のうち
法定免除期間の10年分に相当する老齢基礎年金は、約10万円(年額)です。
※金額はかなりざっくりです。
かりに、65歳から85歳まで老齢基礎年金を20年間受け取り続けたら
この法定免除期間10年分の老齢基礎年金は
約200万円です!
おわかりですか?
一方、10年間の法定免除期間にあえて国民年金保険料を納めたら
納める国民年金保険料 約200万円です。
この10年間のあえて納めた法定免除期間分の老齢基礎年金
65歳から85歳まで20年間受け取り続けたら、約400万円です。
法定免除を受けて、国民年金保険料を納めずにいた期間分の20年間の老齢基礎年金は
200万円
法定免除期間にあえて国民年金保険料を200万円納めて受け取れる老齢基礎年金は
20年分で400万円
元手がかかっていますから、仮に70歳で亡くなったら、元がとれないことになります。
病気と生涯縁が切れないこともあるかと思います。
早く亡くなることもあるかと思います。
法定免除を受けるか、あえて国民年金保険料を納めるか、
どちらが良いかは一概に言えません。
スグに決めなくとも、遡って保険料を納めることもできます。
(10年前まで遡って国民年金保険料を納めることができます。ただし、2年を過ぎると金額が増えます。)
私におつきあいくださった障害基礎年金受給の
若い方は、国民年金保険料をあえて納める人が多いです。
ですが、保険料0円で法定免除期間分の老齢基礎年金を受け取れるのだから、
法定免除をチャンスと考える人もいらっしゃいます。
その中には、国民年金保険料分の金額で親御さんを保険契約者にして
保険契約を結ぶことを選んだりなさる人もいます。
年齢が高い人は、もう保険料も長く納めているので、
あえて納めず、法定免除をそのまま受けている人が多いです。
さて、納めると返ってきません。
遡って納めることも可能ですから、
国民年金保険料をあえて納めるか
法定免除をそのまま受けて、老齢年金が減ったとしても
別の手立てを用意するか
じっくりお考えになってください。
過去の分の国民年金保険料が戻ってくるとき
障害年金申請の請求方法は2つあります。
うつ病などの精神疾患での2つあるうちのどちらの請求方法も、
初めて病院で診察を受けた初診日から1年6か月経過した障害認定日以降に
障害年金申請が請求できます。
事後重症による請求は
障害認定日には障害状態にないものの、
その後悪化して現在は障害状態にある場合、
これから先の未来に受け取る年金として申請するものです。
申請した翌月から障害年金を受け取る権利が発生します。
そして、もう一つの請求方法
障害認定日による請求では、
障害認定日に障害状態にある場合、障害認定日以降の年金を
受け取れますので、過去の年金を遡って受け取ることができます。
申請が認められて、過去の年金を遡って受け取ることができた場合、
時効があるため、5年前の年金までしか受け取ることができません。
例えば、障害認定日が10年前であったなら、5年分の年金が受け取れなくなります。
では、認定日請求をして、
遡って年金の受給が決定したなら、
法定免除はどうなるのでしょうか?
先に書きました通り、障害年金1級2級の場合、
国民年金保険料は、法定免除となり
納める必要はなくなります。
認定日が10年前であるなら、年金については5年前までしか遡ることはできませんが
法定免除は、認定日まで遡ります。
認定日が10年前であるなら10年前まで遡ります。
そのため、
10年前までの間に国民年金保険料を納めてあるなら、
権利発生の認定日の時に遡って国民年金保険料を返還してもらうことが可能です。
納付のままにしておくことももちろん可能です。
5年分の年金に加えて、10年納めてきた国民年金保険料の返還が受け取れます。
ここで、よく考えていただきたいことがあります。
うつ病などの精神疾患の人の場合、
将来症状が改善されて障害状態ではなくなると、
年金支給がストップします。
その時に法定免除期間はどうなるでしょうか?
法定免除期間は、老齢基礎年金を計算するのに
1/2保険料を納めた期間と同じように年金額に反映されます。
金額は減ってしまいますが、国民年金保険料を納めずとも
法定免除期間分についての老齢基礎年金は受け取れるということです。
将来症状が改善され、働けるようになることはとても良いことです。
障害年金はストップしますが、あえて
法定免除期間にも国民年金保険料納めることは
方法のひとつです。
認定日請求をして、法定免除となり、
今まで納めてきた国民年金保険料を返還請求できるとき、
老齢基礎年金に切り替わる可能性についてもお考え下さい。
国民年金保険料 まとめ
うつ病などの精神疾患の場合、
障害年金は永久認定ではないので、
将来病状が軽減されて障害年金を受け取る必要がなくなった時に
法定免除の扱いがどのようになるか
理解しておいてください。
障害厚生年金3級の人が第1号被保険者ならば
国民年金保険料を納められるなら納める必要があります。
収入が少ないなら、申請免除の手続きをなさってください。
障害年金を受け取ることができたなら、
少し安心できたでしょうか。
いっぱいいっぱいの状態から、落ち着いてきましたら
是非、これから先のことにも意識を向けてみてください。
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