ブログ

Blog

【うつ病】障害年金受給に必要な診断書の書き方と注意点を解説

障害年金の申請は書面の記載内容だけで結果が出ます。
「何が書いてあるか」がすべてです。

「不支給」の結果にならないために
うつ病などの精神疾患では、
診断書はどのような内容か あなたとご一緒に考えていきます。

監修:石井 智子

【保有資格】社会保険労務士 / 年金アドバイザー

【経歴】2018年8月 開業

「うつ病」「双極性障害」などの精神疾患で障害年金を受け取りたい方の手続き代行を「確実に・短い時間で・あなたの体力を減らさない」をモットーに行う。

目次

障害年金とは

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが
制限されるようになった場合に、生活保障として
20歳~64歳(原則)の人が
受給要件を満たすことで受け取ることができる年金です。

老齢年金や遺族年金と同じく障害年金も公的年金のひとつです。

知っておきたい障害年金4つの確認ポイント

これから障害年金の申請を考えているなら
まずは知っておいていただきたいポイントは4つあります。

1 【2種類の障害年金】
障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金があり、
初診日に国民年金に加入していた場合には、障害基礎年金
厚生年金に加入していた場合には、障害厚生年金が、請求できます。

障害厚生年金は、併せて障害基礎年金を受け取れるため
年金額も高く、条件も障害基礎年金を上回ります。

それならば有利な障害厚生年金を受け取りたいところですが、
障害基礎年金と障害厚生年金は
初診日の加入状況で自動的に決まってしまい、
変更することも、自分で選ぶこともできません。

2 【年金額と振込日】
年金額は、障害基礎年金2級ならば、
すべての人が同じ金額で、795,000円(令和5年額)です。
障害厚生年金2級ならば、障害基礎年金を併せて受け取れますので、
同じ障害状態であっても、795,000円を上回ることになります。

障害年金も、老齢年金・遺族年金と同じく
偶数月の15日に2ヶ月分が振り込まれます。

3 【障害年金の支給停止】
「うつ病」などの精神疾患で障害年金を受け取る場合、更新があります。
6ヵ月~6年の範囲で診断書を提出します。
提出した診断書で障害状態ではないという判断になったなら
「うつ病」で受け取っていた障害年金は
ストップすることになります。ストップしたとしても
症状が悪化した場合には64歳までならば再開は可能です。

一度受給権が決定すれば生涯受け取り続ける
というものではありません。

4 【申請から年金を受け取れるまでの期間】
申請に必要な証明書を用意するのに1~2ヶ月かかります。
準備が整って提出し、受理されてから
結果がわかるまで、3ヶ月です。
そこから1~2か月で年金が振り込まれます。
半年はかかってしまいます。

以上の4つのポイントが
「うつ病」のあなたが障害年金を受け取ろうとする際に
まず、知っておきたい点です。

障害年金の受給要件

障害年金は「保険」です。
受給要件を満たさないと受け取ることができません。
受給要件は3点です。
1 20歳~64歳(原則)
2 現在障害状態であること
3 初診日に規定の保険料を納めていること

障害年金が「うつ病」などの精神疾患が原因で
受け取るならば、もう一点加わります。
4 現在通院中であること

受給要件1 年齢

障害基礎年金の受給権は、
初診日が国民年金の被保険者である時に発生します。
国民年金の被保険者とは20歳~60歳未満の人が対象です。

20歳前に初診日があった場合、「20歳前の障害年金」の受給権が
20歳で発生します。

国民年金の被保険者ではありませんが、
日本に住所を持つ60歳~64歳の人も対象です。

障害厚生年金の受給権は、初診日が厚生年金の被保険者
である時に発生します。
厚生年金加入の下限年齢は定められていませんから、
中学あるいは高校を卒業して厚生年金加入し、
直後に初診日があるなら、1年6ヵ月後の障害認定日が20歳前であっても
障害厚生年金は受給できます。

もちろん「うつ病」などの精神疾患で、20歳前に障害厚生年金を
受給する人は、かなり少ないケースです。

また、厚生年金被保険者は70歳まで加入できます。
65歳を過ぎてから初診日があり、障害認定日になったのなら、
障害厚生年金の受給は可能ですが、65歳で老齢年金の権利が
あるのですから、どちらかを選ぶことになります。
65歳を過ぎて、精神疾患で障害厚生年金の受給の可能性は
ないとは言えませんが、ごく限定的です。

受給要件2 障害状態

障害年金が支給される障害の状態に応じて、法令により、障害の程度(障害等級1~3級)が定められています。
1級
他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできないほどの障害の状態です。身のまわりのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅介護を必要とし、活動の範囲がベッドの周辺に限られるような方が、1級に相当します。
2級
必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、労働によって収入を得ることができないほどの障害です。例えば、家庭内で軽食をつくるなどの軽い活動はできても、それ以上重い活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅で、活動の範囲が病院内・家庭内に限られるような方が2級に相当します。
3級
労働が著しい制限を受ける、または、労働に著しい制限を加えることを必要とするような状態です。日常生活にはほとんど支障はないが、労働については制限がある方が3級に相当します。

重要な基準は
・「日常生活」に支障が出ているのか
・「働くこと」ができているのか
この二点になります。

受給要件3 保険料納付

保険料納付要件は、初診日の前日において数えます。

・ 初診日がある月の2ヶ月前までの被保険者期間で、
  国民年金の保険料納付済期間と
  保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること

あるいは特例として
初診日が令和8年3月末日までにあるときは、
以下の2つの条件を満たしていること。

・初診日において65歳未満であること
・初診日がある月の2ヶ月までの直近1年間に保険料の
 未納期間がないこと

年金事務所で納付記録を確認できます。
 

受給要件4 継続通院

「うつ病」などの精神疾患の場合、継続通院が必須です。
ところが継続通院が必須であることはどこにも書いてありません。

なぜ継続通院が必須なのでしょうか?
障害状態を判断するには、病状が一時的な状態であってはならないからです。

経過を確認した上での治療があったにもかかわらず、
改善がなかった。
そして今後も見通せないことを障害状態というのです。

専門の医師が経過を見てきた結果として
診断書に記載されなければなりません。
記載要領に「現症日以前、1年程度」での変化を見るよう明記されています。

「うつ病」などの精神疾患に人の中には
通院や服薬に抵抗感の強い人がいます。
そのため通院から遠のいてしまいがちです。
ですが、障害状態であることを確認できるのは、医師だけなのです。
通院していなければ診断書の作成はできません。

障害状態を判断する書類

障害年金申請に必要な書類のうち、障害状態を判断するのは以下の3種類です。
1 受診状況等証明書
2 病歴・就労状況等申立書
3 診断書

受診状況等証明書は、初診日を確定することが主な目的の証明書です。

病歴・就労状況等申立書は、名称の通り
自分自身で通院期間ごとに病状や就労状況、日常生活状況を申し立てます。

診断書は、
初診日、発症から現在までの病歴、通院歴を記載した上で
年月日を限定してその時点での症状を記載します。

障害状態は、診断書と病歴・就労状況等申立書がセットで判断されます。
あくまで私個人の感想ですが、診断書が7~8割、
病歴・就労状況等申立書が2~3割のバランスで判断されていると感じています。

受診状況等証明書は、障害状態判断の起点として必要ですが、
障害状態の判断は、診断書と病歴・就労状況等申立書によります。

ほとんどが診断書の内容によると考えてもよいかもしれません。
では、診断書には何が記載されるのでしょうか。


診断書の障害状態基準とは

「受診状況等証明書」「病歴・就労状況等申立書」も重要な書類ですが
障害状態は「診断書」の記載内容によって判断されます。

障害年金申請では病状ごとに診断書が8種類に分かれています。

1  眼の障害用
2  聴覚・鼻腔機能・平衡機能・そしゃく・嚥下機能・音声又は言語機能の障害用
3  肢体の障害用
4  精神の障害用
5  呼吸器疾患の障害用
6  循環器疾患の障害用
7  腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害用
8  血液・造血器・その他の障害用

あなたは「うつ病」なので、「4 精神の障害用」の診断書を記載することになります。


 

精神の障害用診断書ー記載内容

症状がどの程度になるのかを判断するのは医師です。
その為、診断書を医師に依頼したら、自分の力及ばない書類として
内容をよく確認しない人が多いように感じます。

判断は医師ですが、その判断のための情報は
他でもないあなた自身が伝えなければならないのです。

他の病気のように検査で何らかの数値が出るというものでないため
自分の状態を「判断してもらいやすく」言語化してください。

年金機構はこの「精神の障害用診断書」で何を確認するのでしょうか?
「うつ病」によって日常生活が制限されている度合いを確認するのです。

日常生活が制限されている度合いをはかる7つの項目

精神の障害用診断書の内容を確認してください。
年金機構のホームページで確認できます。
(下の「精神の障害用 診断書」をクリック)
表裏に記載します。

表は直接病状にかかわること、初診日、通院歴、薬名などが記載されます。
裏面に「日常生活の制限の度合い」を確認する
「日常生活能力の判定」の項目があります。
項目は7つあります。
それぞれが4段階の判定です。
4段階に分かれていることから、おそらく想像なさったことと思いますが、
ここも障害状態を判断する大きな手掛かりとなっています。

7つの項目は以下となります。
1 適切な食事
2 身辺の清潔保持
3 金銭管理と買い物
4 通院と服薬
5 他人との意思伝達及び対人関係
6 身辺の安全保持及び危機対応
7 社会性

そしてそれぞれが4つの段階に分かれています。
1 できる
2 おおむねできるがときには助言や指導を必要とする
3 助言や指導があればできる
4 助言や指導をしてもできない若しくは行わない

日常生活が制限されている度合いの基準

それぞれの項目の4段階
1 できる
2 おおむねできるが時には助言や指導を必要とする
3 助言や指導があればできる
4 助言や指導をしてもできないもしくは行わない
このうち「3 助言や指導があればできる」とは、以下の目安です。
サポートを受けている家族と生活しているとしても
「一人で生活しているとするならば」できるかどうか
で判断します。

1 適切な食事
一人では、いつも同じものばかりを食べたり、
食事内容が極端に貧しかったり、いつも過食になったり、
不規則になったりする。

2 身辺の清潔保持
身体の清潔を保つためには、経常的な助言や指導を必要とする。
自室の清掃や片づけを自主的にはせず、いつも部屋が乱雑になる。

3 金銭管理と買い物
一人では金銭の管理が難しいため、3~4日に一度手渡して買い物につきあう。

4 通院と服薬
飲み忘れや、飲み方の間違い、拒薬、大量服薬をすることがしばしばある。

5 他人との意思伝達及び対人関係
他者とのコミュニケーションがほとんどできず、近所や集団から孤立しがちである。
友人を自分からつくり、継続してつきあうことができず、
あるいは周囲への配慮を欠いた行動がたびたびある。

6 身辺の安全保持及び危機対応
道具や乗り物などの危険性を充分に理解・認識できておらず、それらの使用・
利用において、危険に注意を払うことができなかったり、
頻回に忘れてしまう。また、通常と異なる事態となった時に、
パニックになり、他人に援助を求めたり、指示に従って行動するなど、
適正に対応することができないことが多い。

7 社会性
社会生活に必要な手続きや公共施設・交通機関の利用にあたって
各々の目的や基本的なルールの理解が不十分であり、
助言や指導がなければ、ルールを守り、周囲の状況に合わせた行動ができない。

おおよその目安と思ってください。
この基準だけで医師は判断しているわけではありません。
判断するべき項目が7つしかありませんので、
時には広範囲の意味で4つの段階から選んでいます。

判断項目が7つしかないわけですから、
より実際の病状を反映した判断になるように
自分でもあらかじめ自分の状態を把握することが必要です。

例えば、「4 通院と服薬」の項目について
あなたは「薬の飲み忘れはしばしばある。病院の予約忘れや日時思い違いも多い」状態だとします。
思考をここで止めないでください。

似たような「忘れる」行動を他にしていませんか。

病院の診察日に、病院に着いてから診察券を忘れていたことに気づいた。
ゴミ出しの日を忘れていた。
複数の用事を済ませることができない。
忘れないように書いておいたメモさえ紛失する。

このような細かい「自分が忘れてしまう」事柄を集めた上に
「薬の飲み忘れが」が存在しているのです。ここまで自分の行動を広げて把握する必要があるのです。

障害年金受給を失敗しないため必要なこと

「うつ病」で障害年金を申請したいという人の病状を聴き取ったあと
診断書を依頼して記載内容を確認すると
実際の病状より軽い病状として書かれていることが多いです。

その原因のほとんどが、現状を医師に伝えきれていないからだと感じます。

「障害年金を受け取りたいです。診断書を書いてください。」
「わかりました。では質問です。3食バランスよく食べていますか?」
「はい」
「歯磨きや入浴はできていますか?」
「はい」
「自分のお金は自分で管理できていますか?」
「はい」・・・・・

極端なことを書きましたが、数分の医師とのやりとりの後
診断書が書きあがったなら、
実際のあなたの病状には届かない内容にしかならないことは
想像がつくはずです。

診断書の記載内容を理解すること。

診断書で判断される項目は7つです。
それぞれの項目を考えながら自分の病状をしっかり把握してください。
その上で診察を受けて、担当医に伝えましょう。

診断書の依頼はその後です。

不支給になった診断書に書かれていること

初診日が確定できず不支給になる。あるいは
保険料未納で不支給となる。
そのような場合を除き、
障害状態ではないとして不支給となった場合の診断書には
何が書かれているでしょうか?
共通して記載されていることがあります。

それは、
病状が軽いと感じられる言葉が使われていることです。
たとえば、
 ○○であるものの、大学へは通学できている
 しっかりした表情で説明が可能
 3人の子供の育児をしている
 (薬名)で安定
 ひとり暮らし
などです。

カルテに記載されている内容がそのまま
診断書に書かれているのです。
他でもないあなたが話したことや、
外見から医師が受けた印象を書いています。

些細な事のようですが、
全体の病状の判断に影響を及ぼすのです。

経過を踏まえて判断しなければならない以上、
今までの診察で何を伝えたかを思い返してください。
そしてこれから、診断書を依頼するまでの
数回の診察の間に何を伝えるか、考えをまとめるべきです。

精神の障害用診断書についてのLINEでのお問い合わせ

ご質問はLINEでのお問い合わせが一番早くお返事できます。
社会保険労務士が直接お答えいたします。
どうぞご遠慮なく!お問い合わせください。
平日  8:00~20:00
土曜日 8:00~14:00

日曜日のみお休みです。

SHARE
シェアする

ブログ一覧

ページの先頭へ